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近年注目を集めている成分の1つが「PQQ」です。PQQは一般的な食べ物や飲み物にも含まれており、もともと体内にも存在するものである一方、ヒトが体内で作り出すことはできません。PQQを摂取することで、どのような効果を得られるのでしょうか。
当記事では、PQQとは一体どのような成分なのかを解説した上で、PQQの効果や効率的な摂取方法についても解説します。PQQについて知り、うまく生活の中に取り入れるための参考にしてください。
PQQとはピロロキノリンキノンの略で、1979年にバクテリアから取り出された、ビタミンに近い栄養素の一種です。PQQには以下の特徴があります。
PQQはミトコンドリアのはたらきを助ける補酵素です。ミトコンドリアは細胞の中、特に脳細胞や心臓細胞に多く存在しますが、加齢によって減少します。ミトコンドリアの役割は、細胞の中で食事から得た栄養をエネルギーに変換することです。
ミトコンドリアの働きが低下すると、細胞の機能低下を引き起こし、記憶力の低下や疲労感が抜けないなど、身体の不調の原因になります。
PQQは生物界に広く存在し、ヒトの体にも存在していますが、体内で合成することはできません。PQQは母乳や発酵食品、野菜、果物など多くの食物に含まれていますが、より効率的にPQQを摂取する手段として、サプリメントの活用が注目されています。
PQQを継続的に摂取すると「短期記憶」をはじめとする脳機能改善につながると言われています。
ここからは、PQQの効果を検証するために行われた「短期記憶テスト」と「ストループテスト」について説明します。テストでは、健康な40代から60代の方40名を「PQQ摂取グループ」と「非摂取グループ」に分け比較しました。
「PQQ摂取グループ」にはPQQが20mg含まれるカプセルを、「非摂取グループ」にはPQQが含まれないカプセルを、1日1回朝食後に12週間摂取しました。被験者は、自分がどちらのカプセルを飲んでいるのか知らされていません。「短期記憶テスト」と「ストループテスト」の結果を解説します。
「短期記憶テスト」では、もの忘れ外来でも採用されている方法で「PQQ摂取グループ」と「非摂取グループ」それぞれの変化を測定します。テストは以下の手順で行いました。
このテストの結果、PQQを摂取したグループは徐々に思い出せる単語数の平均が増えていき、12週間後には「即時想起単語数」の平均が約1.0増加しました。非摂取グループの結果にはばらつきがあり、即時想起単語数の平均増加数はプラス0.4~0.8程度を推移しています。
引用:三菱ガス化学 なるほどPQQ「ヒトでのテスト」/引用日/2022/11/04
PQQを摂取したグループには、徐々に記憶できる量が増えていく傾向にあることが確認されています。
「ストループテスト」とは、「ストループ効果」「逆ストループ効果」と呼ばれる現象を利用して行う心理学テストです。例えば、「赤」という文字が「青」の色で印刷されていると、「赤」の文字情報に影響を受け「青」の色を認知するスピードが落ちます。この現象が「ストループ効果」です。反対に、色の情報に影響を受け、文字の認知スピードが落ちることを「逆ストループ効果」と言います。
「ストループテスト」では、被験者の情報処理能力を測ることができます。文字の意味と異なる色で印刷された文字を見て「色名」を答えるなど、各70問の4つのサブテストから構成されるテストで、解答を出すまでの所要時間を測定しました。所要時間が短ければ短いほど、脳の情報処理能力が高いことを表します。
その結果、PQQを摂取したグループは、12週間で回答の所要時間が約5秒短縮されました。非摂取のグループは4週目と12週目の結果に差異はあまりなく、3秒程の時間短縮だったのと比べると、PQQ摂取グループは継続的に情報処理能力が向上したと言えます。
引用:三菱ガス化学 なるほどPQQ「ヒトでのテスト」/引用日/2022/11/04
PQQは体内で合成できないため、食べ物から摂取する必要があります。PQQは身近な食品にも含まれています。以下の表は、1gまたは1ml中に含まれるPQQ含有量が多い食品をまとめたものです。
PQQが含まれる食品 | |
---|---|
食品名 | PQQ含量 (ng/gまたはml) |
納豆 | 61.0 ± 31.3 |
パセリ | 34.2 ± 11.6 |
綠茶 | 29.6 ± 12.9 |
ピーマン | 28.2 ± 13.7 |
ウーロン茶 | 27.7 ± 1.9 |
キウイフルーツ | 27.4 ± 2.6 |
パパイヤ | 26.7 ± 8.6 |
豆腐 | 24.4 ± 12.5 |
ホウレンソウ | 21.9 ± 6.2 |
納豆や緑茶など、さまざまな食品にPQQが含まれていることが分かります。しかし、上記表のPQQ含有量は1gまたは1ml中に含まれる量です。普段の食事量に換算すると以下の表のようになります。
納豆 1パック(50g) | 3.1μg |
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緑茶 1杯(200ml) | 6.0μg |
ウーロン茶 1杯(200ml) | 5.5μg |
キウイ 1個(100g) | 2.7μg |
「1μg(マイクログラム)」とは、1000分の1mgです。「1ng(ナノグラム)」は1000分の1μgで、100万分の1mgです。食品や飲み物に含まれるPQQはごく少量であり、食品だけで効果を実感することは難しいでしょう。
実際、脳機能維持のためには、1日あたり20mgのPQQを摂取することが効果的との臨床結果があります。「短期記憶テスト」と「ストループテスト」の被験者も1日20mgのPQQを摂取しています。
食事からPQQ20mgを得ようとすると、ウーロン茶では約3636杯飲まなければなりません。現実的な数字ではないため、無理なく必要量を摂取するには、PQQを含むサプリメント等を生活に取り入れるのが大切です。
PQQは、人体への毒性や副作用はなく、安心して摂取できる成分です。その根拠として、以下の3つが挙げられます。
PQQは多くの食品に含まれ、普段の食生活からも摂取しています。特に、赤ちゃんの成長に欠かせない母乳には1mlあたり140〜180ngと、普通の食品よりも多くのPQQが含まれています。また、PQQはもともとヒトの体内にも存在している成分でもあるため、安心して摂取できます。
また、サプリメントが多く利用されているアメリカでは、2008年からPQQを含むサプリメントが発売されていますが、副作用や健康被害は報告されていません。
PQQに関しては、PQQを混ぜたエサをラットに食べさせる「経口摂取試験」や、細胞や動物での遺伝毒性の検討、ヒトでの臨床試験など、多くの実験が行われてきました。しかし、いずれの研究データからも人体への副作用や毒性は確認されていません。
PQQとはビタミンに近い栄養素の一種であり、酵素の働きを助ける効果があります。摂取すると脳の働きを助けると言われていますが、体内で作り出すことはできず、食品から摂取しなければなりません。
PQQは納豆やパセリ、緑茶に含まれているものの、含有量はごく微量なため、必要量を摂取するにはサプリメントを使用するのがおすすめです。もともとヒトの体内に存在する物質であり、食品や母乳などにも含まれているため、安心して摂取することができます。