仕事において、思い込みからミスをしてしまった経験をもつ方もいるでしょう。思い込みで起こるミスは、対策をすることで防げます。また思い込みによるミスが発生する原因を把握することも大切です。
当記事では、ミスを避けるための具体的な対策法を5つご紹介します。思い込みからミスが起こるメカニズムやミスが発生しやすい人の特徴についても触れています。仕事でのミスはもちろん、思い込みから起こるトラブルを防ぎたいという方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
仕事で思い込みから起こるミスには、「確証バイアス」というメカニズムが関係しています。
確証バイアスとは、自分が正しいと思っている考え方を肯定できる材料ばかりを集めて、否定する材料は無意識のうちに捨てることです。確証バイアスは認知バイアスの一種であり、バイアスは「先入観」や「偏見」を意味します。
多くの人は「自分は正しい」と信じたい心理をもっていて、「自分は間違っている」と否定されることを嫌うものです。正しさを証明するために肯定的な材料ばかりを集めると、否定する材料は「間違った情報だ」と目を向けなくなり、結果として確証バイアスに陥ります。
確証バイアスに陥った場合、実際は間違った情報であっても、肯定できる材料が多く集まって「正しい」と信じ込むようになります。間違った情報を正しいと信じ込む確証バイアスが勘違いを生み、ミスにつながることが、思い込みからミスが起こるメカニズムです。
確証バイアスを含め、認知バイアスは仕事のミスや失敗を招きます。
思い込みによるミスは勘違いに気付けば防げるものの、思い込みは誰でも起こり得るため、完全に防ぐことは困難です。
ただし、思い込みによるミスを起こしやすい人には、いくつかの共通する特徴があります。思い込みによるミスを防ぎたい方は、下記の特徴に気を付けて仕事をしてみましょう。
「忙しく仕事をしていて、ついミスをした」という経験がある人は多いのではないでしょうか。複数作業を掛けもちしていたり、他人に頼ることを苦手にしていたりといった「余裕がない人」は、思い込みによるミスを起こしやすい傾向があります。
余裕がない人が思い込みによるミスを起こす理由は、余裕のなさが集中力低下や焦りを生み出すためです。
普段であればすぐ気付けるヒューマンエラーも、余裕がない状態ではなかなか気付けません。振り返って考える時間を作れないまま「大丈夫だろう」と思い込んで、ミスを起こします。
「仕事に慣れてきた人」も、思い込みによるミスを引き起こしやすい人の特徴です。仕事の流れを把握できるようになったり、作業工程に合わせて身体が自然に動くようになったりする頃合いが、仕事に慣れてきた状態といえます。
仕事に慣れてきた人は「自分は仕事ができる」と慢心して、つい確認不足になりがちです。仕事で問題が起きたときも、自己判断で勝手に解決を図る可能性もあるでしょう。
不慣れだったときには慎重に進めていた仕事が、慣れてくると簡単に思えるようになります。「慣れているから大丈夫だろう」と確認を怠った結果、ミスにつながります。
スピードを重視する人とは、会議ですぐ結論に飛びつこうとしたり、テキパキと段取りよく仕事を進めようとしたりする人のことです。
スピードを重視すると、仕事が早く終わって業務効率化ができているように感じられます。しかし、実際には多くのミスが発生している可能性があるため注意してください。
スピードを重視する人は、自分の判断や能力を過信している傾向があります。「自分はスピーディーに仕事ができる」という過信で、自分自身を余裕のない状態に追い込むことで、思い込みによるミスを起こします。
仕事でミスを防ぐには、円滑に仕事をできる環境の整備が大切です。
例として、デスク周りが散らかっていると重要な書類を探しにくくなり、業務上の確認作業をつい怠りがちになります。書類や資料は普段は収納して、必要なときにだけ取り出せるように作業環境の整理整頓をしましょう。
また、業務進行においてもミスをしないための対策法があります。仕事で思い込みによるミスを防ぎたい方は、以下で紹介する5つの対策法を実践しましょう。
仕事でミスをしたときには、ミスが起きた経緯を振り返りましょう。ミスを振り返ることで「ミスはなぜ、どのように起きたか」に意識が向き、ミスの原因を自覚できるようになります。
特に思い込みによるミスでは「間違った情報を正しいと思い込んでいた」状態が、ミスの原因になっています。振り返りは、自分が間違った情報を信じた経緯を認識し、改善を図る上で必要なプロセスです。
ミスを振り返ることで「何に気を付ければよいか」が分かり、ミスの再発防止ができます。
やるべきことをリスト化した「To Doリスト」は、思い込みによるミスを防ぐためにも役立ちます。To Doリストを確認することで仕事中の振り返りが習慣化し、ミスの発生を抑えられます。
「○○の作業は完了したと思っていた」「××は自分の仕事ではないと考えていた」などは、思い込みによって起こりやすいミスです。To Doリストを作成していれば自分がやるべき仕事や手順を視覚化でき、効率的にタスク管理ができます。
また、To Doリストは作成するだけではなく、完了したタスクにはチェックマークを入れて「タスクの完了」を一目で分かるようにすることが大切です。To Doリストを小まめにチェックして、思い込みによるミスを防ぎましょう。
報告・連絡・相談の「報連相」が滞っている職場は、仕事の進捗や発生している問題を個人が把握できず、思い込みによるミスが発生しやすくなります。ミスを防ぐには仕事にかかわるコミュニケーションが欠かせないため、報連相を徹底しましょう。
仕事が完了したときや進捗を伝えるときは報告・連絡を行い、問題が発生したときには相談を行うことで、職場内の情報共有がスムーズになります。誰もが最新の情報に接することで、思い込みによるミスを防げます。
報連相を行う際は、合わせて自分の状況把握に努めましょう。仕事の振り返りによって思い込みを防ぎ、自分の状況も具体的に伝えられます。
思い込みによるミスは、正しい情報を覚えてさえいれば防げるケースがあります。正しい情報を忘れないよう、メモを積極的にとりましょう。
頭の中だけで情報を覚えているよりも、情報をメモに書き出したほうが長く記憶できます。メモの内容は後で見返すこともでき、定期的に振り返りをすれば、間違った情報で上書きされる心配も減らせます。
メモの取り方はパソコンやスマートフォンのメモ帳アプリでもいいですが、なるべく紙のメモ帳を使用したほうが記憶の定着につながります。日時や場所などの情報も書いて、後で見返したときに要点が分かるメモを作りましょう。
仕事を休みなく続けていると疲労が溜まり、余裕がなくなってミスを招きます。人間の集中力は長くは続かないため、思い込みによるミスを防ぐには適度に休憩をとりましょう。
「1時間仕事をしたら10分休憩する」「目の疲れを感じたら仮眠をとる」など、自分に合った方法で休憩を取ることがおすすめです。立ち上がって足を動かすだけでもリフレッシュになり、集中力の回復ができます。
適度な休憩は心身の余裕を保ち、ストレス緩和や体調管理にも役立ちます。疲れを感じたときには無理をせず、休憩をとることが大切です。
確証バイアスは、自分の考えを肯定的な材料で支え、否定的な情報を無視する認知バイアスの一種です。自信を保つために肯定的な材料を重視し、誤った情報を信じ込むことで勘違いやミスが生じます。思い込みによるミスを起こしやすい人の特徴としては、余裕がない人、仕事に慣れた人、スピード重視の人が挙げられます。
思い込みによるミスを防ぐためには、ミスを振り返る、To Doリストを作成する、報連相を徹底する、メモを取る、適度な休憩を取るなどの対策が重要です。今回紹介した思い込みによるミスの原因や対策法を参考に、仕事の効率を向上させましょう。