ゲームをしていると「目が疲れた」と感じたことがあるでしょう。ゲームは時間を忘れるほど楽しい一方、目の疲れを感じて長時間プレイできないことがあります。また、ゲームで感じる目の疲れが、ドライアイや眼精疲労と関係があるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
当記事ではゲーム中に目が疲れる原因について解説します。目が疲れたときの解消法や対策法についても紹介するので、ゲーム中の目の疲れに悩んでいる方はぜひお役立てください。
テレビゲームをしているときや遊び終わった後に、目の疲れを感じる方は多いでしょう。目の疲れには複数の原因があり、目の疲れを減らすためには原因を理解することが重要です。
以下では、ゲーム中に目が疲れる主な原因について詳しく解説します。
ゲーム中に目が疲れる原因の1つとして、まばたきの頻度低下による目の乾燥が挙げられます。
人間の目の表面は常に涙で潤っています。これはまばたきによって涙腺から分泌された涙が目の表面に行き渡り、涙の膜を作るためです。涙は目を乾燥から守り、酸素や栄養を目に供給するなど、目の健康を維持するための役割を果たします。
ゲームに集中して長時間モニターを凝視していると、自然とまばたきの回数が減少します。まばたきの頻度が低下して目が乾燥した状態が続くと、目がゴロゴロするような違和感が生じ、目の疲れを感じやすくなります。
ブルーライトとは、紫外線の次に波長の短い青色光(可視光)で、角膜や水晶体で吸収されずに眼球の奥まで届くほど強いエネルギーを持った光です。ブルーライトは、パソコンやテレビの液晶モニター、スマホの画面などのLEDディスプレイから多く発しています。
ブルーライトは目の奥にある網膜まで直接届くため、ゲームなどでモニターを長時間見続けることにより目に強い負担が生じます。眩しさやチラつきといった症状が出るだけでなく、目のピント調節機能にも大きな負担がかかります。
人間が物体をはっきりと見るためには、目の中にある「水晶体」と「毛様体筋」でピントの調整が必要です。水晶体はカメラや顕微鏡におけるレンズのような役割があり、毛様体筋という筋肉が収縮・弛緩することで、水晶体の厚みを変えてピントを調節します。
【目のピント調節】毛様体筋の状態 | 水晶体の厚み | |
---|---|---|
遠くを見るとき | 弛緩 | 薄い |
近くを見るとき | 収縮 | 厚い |
ゲームに集中しているときは、近くにあるモニターを凝視するため、毛様体筋は収縮した状態でピントを合わせ続けなければなりません。目を酷使した状態が続くと、筋肉に負担がかかるため、目の疲れやだるさが生じやすくなります。
ゲーム中に感じた目の疲れを放置すると、ドライアイや眼精疲労、肩こりなどの症状が起こる可能性が高まります。また近視が進むと視力が低下する恐れもあるため、目の疲れを感じたらその都度解消することを心がけましょう。
以下では、ゲーム中に目が疲れたときの解消法を4つ紹介します。実践しやすい方法を積極的に取り入れて、目のトラブルを予防しましょう。
ゲーム中はプレイに集中しがちですが、定期的に休憩をとり、目を意識的に休めましょう。厚生労働省のガイドラインによると、仕事において情報機器作業を1時間以上連続して行わないように、1時間以内に10〜15分程度の休憩を挟むことが推奨されています。ゲームも同様に、1時間に10〜15分程度を目安に休憩をとりましょう。
出典:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
休憩中は「モニターから目を離して遠くを見る」「意識的にまばたきする」など、目を休めることを心掛けます。心地よさを感じる程度に、眼球を上下左右に動かすような目の体操を行うこともおすすめです。
長時間ゲームをプレイすると、毛様体筋が長時間緊張した状態で維持されます。そのため、1時間ほどゲームをしたら1分ほど軽く目を閉じて、筋肉が緊張したままの状態が続かないようにしましょう。
また、毛様体筋が常に緊張状態にあると、目のまわりの血行が悪くなる恐れがあります。血行が悪くなると、目の血管が拡張して充血や痛みなどが起こりやすくなるので注意が必要です。
毛様体筋を緩めるためにも、ゲームをした日の夜は蒸しタオルを閉じた両目に当てるなどの対策を行いましょう。蒸しタオルは水に濡らしたタオルをよく絞り、電子レンジで40秒程度温めることで簡単に準備できます。
すぐに血行をよくしたい場合は、手をこすり合わせて温めたひらで両目を軽く覆い、両目を温める「パームアイ」がおすすめです。
ゲームで目の疲れを感じたとき、眼科で処方される目薬や市販の目薬でケアするのも1つの方法です。
目のピント調節に違和感がある方には、ネオスチグミンメチル硫酸塩を含む目薬が選択肢の1つです。ネオスチグミンメチル硫酸塩は、毛様体筋の働きをサポートすることで、目の調整機能に影響を与える可能性があります。
ブルーライトが気になる方には、アラントイン、ビタミンB6、タウリンを含む目薬が一つの選択肢です。これらの成分は目のケアに役立つかもしれません。
「ヒアルロン酸ナトリウム」「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」を含む目薬も、目の保湿や保護に役立つかもしれません。ヒアルロン酸は目の水分保持を助け、表面のケアをサポートするとされています。コンドロイチン硫酸エステルナトリウムも同様に保湿効果が期待されます。
目に疲れを感じたときは、目のまわりのツボを押す方法もおすすめです。目のまわりのツボは以下の通りで、押すと少し凹み、やや痛みがあります。ツボの位置には個人差があるため、指で確かめながら探しましょう。
【目の疲れにおすすめのツボ】名称 | 位置の目安 | 期待される効果 |
---|---|---|
攅竹(さんちく) | 眉頭の内側、目の上の骨のややへこんだ部分 | 目の疲れや痛みの緩和 |
太陽(たいよう) | こめかみ下のややくぼんだ部分 | 目のかすみの緩和 |
晴明(せいめい) | 鼻の付け根の横、目頭の左右にあるくぼみ | 目の奥の痛み・かすみの緩和 |
ツボを押すときは、指の腹を使って左右同時に押す動作を5~6回繰り返しましょう。また、目のまわりを指の腹で優しくマッサージするのもおすすめです。
ゲーム中に目が疲れないようにするために、1時間に1回は休憩をとって目を休ませることはもちろん、目の疲れが生じにくい環境を整える必要があります。以下では、ゲーム中の目の疲れを減らすための対策法を3つ解説します。
ゲームによる目の疲れを予防するには、モニターと顔の距離を適切に保つことが重要です。テレビやパソコンのモニターを顔から40~60cmほど離れた位置に設置し、体を近づけすぎないようにしましょう。
また、モニターの輝度や部屋の明るさの調整も必要です。画面が明るすぎると目の負担が大きくなるため、輝度を調節しましょう。室内の照明はモニター上で500ルクス以下になるように調節します。ルクスとは、光に照らされた面の明るさを表す単位です。スクリーンフィルターやブルーライトを遮断するメガネを活用するのも効果的です。
目が乾燥すると目の疲れを感じやすくなります。エアコンの風が直接顔に当たると目が乾燥しやすくなるため、エアコンの下でゲームをプレイするのは避けましょう。
エアコン直下以外でゲームすることが難しい場合は、エアコンの風が直接顔に当たらないよう、風向きの調整をおすすめします。扇風機やサーキュレータ―を併用してエアコンの空気を部屋全体に循環できれば、風向きを固定しても室内の温度を快適に保てるでしょう。
食生活を見直し、バランスのよい食事を心がけた上で、目によいとされる下記のような栄養素を積極的に取り入れることも重要です。食事から摂取することが難しい場合は、栄養素を含むサプリメントで補うとよいでしょう。
【目によいと言われる主な栄養素】ビタミンAは視力の健康維持をサポートするために重要な栄養素です。また、アスタキサンチンは抗酸化作用があるとされており、目の健康にプラスの影響を与えることが期待されます。これらの栄養素を含む食事やサプリメントの摂取は、目の健康維持をサポートする手段として利用できます。
ゲーム中に感じやすい目の疲れはモニターを凝視するのが主な原因です。他にも目の乾燥やモニターから発せられるブルーライトもゲーム中に目が疲れる原因として挙げられます。
ゲーム中に目の疲れを感じたままにしていると、ドライアイや眼精疲労といったトラブルが起こりやすいので注意が必要です。目の疲れを感じたときは休憩や目薬でのケアを徹底しましょう。また目を疲れさせないために、食事やモニターの距離・明るさに気を付けるのも有効な方法と言えます。